アスリートに必要な知識: 相対的柔軟性による代償運動

相対的柔軟性による代償運動 アスリートリテラシー

アスリートがストレッチなどをする上で知っておいた方がいい理論の1つが相対的柔軟性による代償運動です。

今回の記事では、この相対的柔軟性による代償運動について説明したいと思います。

相対的柔軟性による代償運動とは何か?

この相対的柔軟性による代償運動は、アメリカの理学療法士である、Dr. Shirley A. Sahrmannが提唱した理論です。

その定義は、日本語にも翻訳され「運動機能障害症候群のマネジメントー理学療法評価・MSIアプローチ・ADL指導」というタイトルの本で多くの理学療法士やパーソナルトレーナー、スポーツトレーナーなどの日本の専門家にも普及・認知されている理論になります。

上記の本では、以下のように日本語で相対的柔軟性による代償運動は定義されています。

共通の運動方向をもつ複数の関節において連携した運動を行う場合、そのなかにより柔軟性のある関節が、そうでない関節よりも先に動き始める傾向がある。そして、他の関節でまず起こるべき運動が、より柔軟性がある関節において動くべきではないときに動き始める現象

Shirley A. Sahrmann. 2002.

これは、1つの筋肉の柔軟性が低下し、この柔軟性が低下してしまった筋肉が関係している関節の動きが悪くなると、この関節の代わりに周りの他の関節が動かない分、動くことを意味しています。

相対的柔軟性による代償運動は悪いこと?

代償運動と聞くと、「悪」「悪いこと」とイメージするアスリートの方もいらっしゃるかと思いますが、代償運動が悪いことだけではありません。

代償運動という言葉を使う場合に、悪い時に使われがちですが、代償運動はそもそも、本来起こるべき運動が他で起こる運動のことを意味しています。

相対的柔軟性による代償運動についていえば、柔軟性が低くなりその関係する関節の運動を他の関節が代わりに行う運動になります。

アスリートに必要な運動は、一部の柔軟性が低くなっていても、この相対的柔軟性による代償運動によって実施できていることになります。

動ける関節が他の関節をサポートして動いているのが、この相対的柔軟性による代償運動です。

このように、動ける関節が状況によって他の関節の代わりに動くことは1つの身体の適応だとも考えられます。

負担がかかっている関節や部位をサポートすることによって、身体をケガから守ることにも繋がると考えられますし、負担をかけずに同じパフォーマンスを身体全体としては発揮できることを意味しているので身体を効率的に動かしているとも考えられます。

代償運動=悪⇒矯正

というような安易な憶測は適切ではありません。

なぜアスリートは相対的柔軟性による代償運動について知っておいたが方がいいのか?

ここまで読んでいただいたアスリートの方には、相対的柔軟性による代償運動がどのようなものなのかは理解していただけたかと思います。

最後になぜこの相対的柔軟性による代償運動がアスリートにとって知っておいた方がいい理論なのか説明したいと思います。

ストレッチやトレーニングなどを実施している際に、全体の動きだけに意識を向けていると、全体の動きとしては同じ動きができていたとしても、相対的柔軟性による代償運動が起こり、その動きを生み出す部分は異なってしまっている場合があります。

特にストレッチでは、柔軟性を向上させるために実施しています。

相対的柔軟性による代償運動を考慮せずに、ストレッチを続けていると、柔軟性が低い筋肉はストレッチできずに柔軟性はそのままになり、柔軟性が高く、ストレッチによって伸ばされる筋肉はさらに柔軟性を高めることになります。

これによって、この筋肉の間の柔軟性の差は広がり、バランスは崩れてしまいます。

そもそも、ストレッチの目的は柔軟性の低い筋肉を高めることで、パフォーマンスを高めたり、疲労を回復するために実施しています。

相対的柔軟性による代償運動を考慮せずにストレッチを実施することにより、筋肉の間の柔軟性の差は広がり、バランスが崩れてしまい、ケガが発生するリスクを高める可能性もあります。

ストレッチをする際には、しっかりとストレッチしたい筋肉を意識して、その筋肉が希望通り伸ばされているかを確認しながらストレッチするようにしてください。

同じストレッチでも、疲労度などの体調によって同じ人でも伸ばされ方は変わってきます。

やっているだけにならずに、1回1回、なぜストレッチを実施しているのか、どの筋肉が伸ばされているのかを意識しながら実施するようにしてください。

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